当院では、患者様お一人おひとりの病状やライフスタイルに合わせ、寄り添う姿勢で糖尿病の治療を行っております。
糖尿病は初期には自覚症状がほとんどありませんが、放置すると神経障害、視力障害、腎機能障害など、さまざまな重篤な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、できるだけ早期に治療を開始することが非常に重要です。
治療には、食事や運動を中心とした生活習慣の改善が欠かせません。当院では、診察を通じて、患者様それぞれに適した食事療法や運動療法をご提案しております。
また、近年では糖尿病治療薬も進化し、多様な選択肢が利用可能となっています。当院では、日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医である院長が、患者様の病状に応じた適切な薬物治療を行っております。
現在、日本では糖尿病の治療を受けている方が500万人を超え、糖尿病が強く疑われる方を含めると1,000万人以上、さらに予備軍を含めると約2,000万人に上るともいわれています。多くの方が、糖尿病による健康リスクを抱えているのが現状です。
健康診断などで血糖値の異常や糖尿病の疑いを指摘された方、また現在治療中でお悩みの方も、どうぞお気軽に当院にご相談ください。
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。
私たちの体では、食事から摂取した糖分(ブドウ糖)をエネルギーとして細胞に取り込むために、「インスリン」というホルモンが重要な役割を果たしています。
インスリンは膵臓から分泌されますが、その分泌量が低下したり、働きが不十分になったり、うまく作用しなくなったりすると、血液中に糖があふれてしまいます。
この状態が続くと血管に炎症が起こったり、動脈硬化が進行したりして、血流の悪化を招き、全身の血管や神経にダメージを与えることになります。
その結果、さまざまな合併症が引き起こされるのです。
糖尿病は大きく以下の4つに分類されます。
インスリンをつくる膵臓のβ細胞が、自己免疫反応などによって破壊され、インスリンが分泌できなくなることで発症する糖尿病です。
小児や若年層に多く見られますが、成人になってから発症する場合もあります。
1型糖尿病では、インスリン製剤を注射などで補充する治療が必要です。
糖尿病の中で最も多く(全体の約9割)を占めるタイプで、生活習慣と深く関係しています。
遺伝的な体質に加え、過食(特に高脂肪食の摂りすぎ)や運動不足、肥満、ストレスなどが重なることで、インスリンの分泌量が不足したり、効きにくくなったりします(これを「インスリン抵抗性」と呼びます)。
初期には自覚症状がほとんどなく、気づかないまま進行することがあるため、定期的な健康診断が重要です。
妊娠中に初めて発見される糖代謝異常が「妊娠糖尿病」です。
妊娠前から糖尿病と診断されている場合は、「糖尿病合併妊娠」と呼ばれ、区別されます。
妊娠糖尿病の原因は主にホルモンの影響と考えられており、母体だけでなく胎児にも影響を及ぼす可能性があるため、適切な検査と管理が必要です。
多くの場合、出産後に血糖値は正常に戻りますが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高いとされており、継続的な経過観察が大切です。
膵臓の病気(慢性膵炎や膵がんなど)や特定の遺伝子異常、薬剤(ステロイドなど)の影響によって発症する糖尿病もあります。
それぞれの原因に応じた適切な治療が必要となります。
糖尿病は、初期の段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行していることが少なくありません。
血糖値の上昇やその持続により、以下のような症状が現れることがあります。
など
など
糖尿病を放置すると、血管内皮に障害が起き、血流が悪化し、酸素や栄養が届きにくくなります。
これが血管の障害や炎症を引き起こし、全身の細い血管(毛細血管)や太い血管にダメージが蓄積し、合併症を引き起こします。
代表的なものに、「糖尿病三大合併症」と呼ばれる、次のようなものがあります。
眼の網膜にある血管が障害されて出血や浮腫を起こし、黄斑浮腫や硝子体出血、牽引性網膜症などを引き起こして、視力低下や失明につながるものです。
糖尿病の患者様の約3割が罹患するとされており、糖尿病と診断されましたら、目に異常は感じていなくても、定期的に眼科を受診することが重要になります。
高血糖によって腎臓の糸球体の毛細血管が障害され、徐々に腎機能が低下していきます。
放置すると人工透析が必要になる場合があり、日本では糖尿病腎症が透析導入の原因の第一位です。
高血糖による神経細胞の変化や、動脈硬化による神経細胞への血流不足(栄養不足)原因となって現れると考えられます。
主に足先からのしびれや痛み、感覚の鈍化などが生じ、感染が伴うと重症化し、潰瘍や壊疽に至ることがあります(糖尿病足病変)。
この場合、下肢切断に至る危険があります。
自覚症状が乏しいまま進行することが多く、注意が必要です。
当院では、以下のような検査を行い、糖尿病の有無や進行度を評価します。
一般的には、以下のいずれかを満たした場合、糖尿病と診断されます。
※複数回の検査による確認が必要です。
糖尿病治療の基本は、血糖値を良好な状態に保ち、合併症を予防することです。
当院では、患者様のライフスタイルや病態に合わせ、食事療法・運動療法・薬物療法を適切に組み合わせた治療を、患者様とも相談しながら行っていきます。
糖尿病治療の柱となるのが食事療法です。単にカロリーを制限するのではなく、「バランスよく、適量を、規則正しく」食べることが重要です。
具体的には、下記のようなことを意識して食事をすることが重要です。
など
食事療法というと、いろいろと我慢しなければならないというイメージを持たれるかもしれません。
しかし、食事療法は、一律に「これを食べてはいけません」「この量を超えてはいけません」ということではなく、患者様によって必要な食事の管理を行っていくことが大切です。
運動は、血糖値を下げる効果だけでなく、筋力維持や心肺機能の向上、ストレス軽減にもつながります。
とくに有効なのはカロリーを消費し、肥満の解消につながるウォーキングなどの有酸素運動で、週5日、1日30分を目安に行うことが推奨されます。
また、筋肉体質はインスリンの効きをよくするとされており、筋肉をつけていくことも重要になります。
運動療法も、患者様の体力や全身の状態、ほかの疾患の有無なども考慮しつつ、例としては以下のような運動メニューを提案していきます。
など
糖尿病は生活習慣病の一つであり、初期には食事・運動療法が中心となります。
しかし、それだけでは血糖コントロールが困難な場合や、進行してインスリン分泌低下が顕著な場合は、薬物治療の導入が必要です。
薬物治療は高血糖の持続による血管障害や合併症(網膜症、腎症、神経障害など)を防ぎ、健康寿命を保つために重要な選択肢です。
近年では、患者さんの年齢、合併症、生活スタイル、肥満の有無、腎機能などを総合的に判断し、個別化された薬物療法が求められています。
糖尿病治療では、病態や生活習慣に合わせてさまざまな内服薬が用いられます。
主な薬の種類と特徴は以下の通りです。
肝臓での糖新生を抑え、インスリン抵抗性を改善します。
体重増加が少なく、肥満傾向の方に適しています。
心血管疾患予防効果も報告されていますが、腎機能低下時には使用に注意が必要です。
膵臓のβ細胞を刺激し、インスリン分泌を促進します。
強力な効果がありますが、低血糖のリスクがあるため高齢者では慎重に使用します。
代表薬:グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリドなど。
SU薬と似た作用を持ちますが、即効性があり短時間で効果が切れるため、食後高血糖の改善に有効です。
代表薬:ナテグリニド、ミチグリニドなど。
GLP-1というホルモンの分解を抑え、血糖値に応じてインスリン分泌を促進します。
低血糖リスクが低く、高齢者にも使いやすい薬です。
代表薬:シタグリプチン、リナグリプチンなど。
腎臓での糖再吸収を抑え、尿から糖を排泄します。
体重・血圧低下や心腎保護効果も期待できますが、脱水や尿路感染症に注意が必要です。
代表薬:カナグリフロジン、ダパグリフロジンなど。
インスリン感受性を高め、脂肪細胞の働きを改善します。
中性脂肪低下やHDL上昇効果がありますが、体重増加や浮腫に注意します。
腸での糖吸収を遅らせ、食後高血糖を抑えます。
副作用として腹部膨満感や放屁がみられることがあります。
代表薬:ボグリボース、アカルボースなど。
日本で新たに承認された薬で、インスリン分泌と感受性の両方を改善します。
SU薬との併用で効果が高まることがあります。
従来注射のみだったGLP-1作動薬を内服できる製剤です。
食後血糖上昇抑制や体重減少効果が期待されますが、使用できる薬は限られています。
1型糖尿病や、2型でも膵機能が著しく低下した場合に使用されます。
持効型・超速効型・混合型などがあり、病態に応じて使い分けます。
血糖自己測定と連携した自己管理が重要です。
食欲抑制、胃排出遅延、インスリン分泌促進など多彩な作用を持つ薬剤。
体重減少作用もあり、肥満を伴う糖尿病患者に適しています。
代表薬:セマグルチド、リラグルチドなど
最新の注射製剤で、GIPとGLP-1両方の受容体に作用し、インスリン分泌と食欲抑制の両立を目指します。
セマグルチド系の週1回製剤が中心で、今後の主流となる可能性があります。
SU剤、インスリンなどでは低血糖の可能性があります。
高齢者や腎機能低下のある方では特に注意が必要です。
メトホルミンやSGLT2阻害薬などは腎機能に依存するため、定期的な検査が必要です。肝疾患のある方ではピオグリタゾン使用に注意します。
食事・運動との併用が治療効果を高める。
薬物治療はあくまで補助であり、バランスのとれた食事と定期的な運動が血糖改善の基本です。また、現在行っている食事療法・運動療法・薬物療法が適切かどうかは、血液検査(HbA1cなど)の結果に基づいて評価します。
その結果を踏まえて、最近の生活習慣に見直すべき点がないかを振り返り、必要があれば修正・改善を行うことが重要です。
糖尿病は高血糖状態が長期間続くことにより、血管や臓器に慢性的な炎症や障害を引き起こす病気ですが、近年の研究により、糖尿病が「がん」とくに消化器がんのリスクを高めることが明らかになっています。
日本人の死因統計において「がん」は長年1位を占めており、特に大腸がん、胃がん、膵がん、肝がんなどの消化器系癌は、男性・女性ともに上位を占めています。
複数の疫学研究によると、2型糖尿病患者様は健常人と比較して、膵がんのリスクが1.8倍、大腸がんが約1.4倍、肝がんが約2倍も高くなると報告されています。
また、胃がんについても糖尿病との関連が報告されています。
このような背景から、糖尿病患者様は血糖コントロールに加えて、定期的ながん検診を受けることが重要です。
特に消化器内視鏡検査(胃カメラ・大腸内視鏡)や腹部超音波検査などは、早期発見・早期治療に有効です。糖尿病と「がん」の両方を視野に入れた総合的な医療が、今後ますます求められる時代になっています。
当院では、日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医が診療を行っており、食事療法・運動療法・薬物療法を、患者様のライフスタイルに合わせて丁寧にご提案いたします。
また、定期的な検査を通じて、合併症の早期発見・予防にも力を入れております。
「糖尿病と上手につきあう」ことを目指し、患者様と共に歩む医療を大切にしています。
八尾市・大阪市平野区・東大阪市・柏原市など、近隣にお住まいの皆様も、どうぞお気軽にご相談ください。
さらに、総合内科専門医として、風邪をはじめとする内科全般に幅広く対応しております。
内視鏡専門医・指導医として、これまでに累計2万件以上の内視鏡検査・治療を行ってきた経験を活かし、麻酔を用いた胃カメラ・大腸カメラを、可能な限り負担の少ないかたちで実施するよう努めております。
当院では、胃カメラと大腸カメラの同日検査にも対応可能です。
消化器病専門医としては、嘔吐・腹痛・下痢・血便などの原因精査および治療を専門的に行っております。
また、肝臓専門医として、健康診断で指摘された肝機能検査異常の精査や、B型肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などの慢性肝炎の診療にも専門的に取り組んでいます。
当院では、患者様のお話を丁寧にうかがったうえで、専門的な知識と経験を活かした診療を行うことを心がけております。
「受診して良かった」と感じていただける医療を提供できるよう、スタッフ一同、日々努めております。